目次
古文の動詞活用とは何か
古文を勉強していると必ず出てくる「動詞活用」という言葉。これは古文読解の基礎となる重要な文法事項です。現代語では「食べる」「食べない」「食べた」のように動詞の形が変わりますが、古文でも同じように動詞の形が変化します。この変化のパターンを理解することが、古文を正しく読むための第一歩になります。
現代語と古文の動詞の違い
現代語の動詞活用はとてもシンプルです。たとえば「書く」という動詞は「書かない」「書きます」「書く」「書けば」「書こう」のように変化します。これらは全て同じパターンで変化するため、覚えるのは比較的簡単です。
一方、古文の動詞活用は9種類もあります。同じ「書く」でも、古文では「書か・書き・書く・書く・書け・書け」と変化します。現代語とは異なる変化のパターンを持っているため、最初は戸惑うかもしれません。しかし、パターンさえ覚えてしまえば、どんな動詞でも正しく活用させることができるようになります。
古文の動詞活用で特に注意したいのは、未然形と已然形という現代語にはない活用形の存在です。未然形は「ず(ない)」という否定の助動詞に接続する形で、已然形は「ば(〜すると)」という接続助詞に接続する形です。この2つの活用形は古文独特のもので、現代語の感覚では理解しにくい部分です。
たとえば、東京大学や早稲田大学の入試問題では、動詞の活用形を正しく判断できるかどうかが頻繁に問われます。特に助動詞の接続を理解するためには、動詞活用の知識が不可欠です。基礎をしっかり固めることで、難関大学の入試問題にも対応できる力が身につきます。
活用とは何を意味するのか
活用とは、動詞や形容詞などが後ろに続く言葉によって形を変えることを指します。たとえば「書く」という動詞は、後ろに「ず」が来れば「書かず」となり、「たり」が来れば「書きたり」となります。このように、後ろの言葉に合わせて語尾が変化する現象が活用です。
活用形には6つの種類があります。未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つです。それぞれの活用形には決まった役割があり、特定の助動詞や助詞と接続します。
未然形は「まだ起こっていないこと」を表す形で、打消の助動詞「ず」や推量の助動詞「む」などと接続します。連用形は「用言に連なる形」という意味で、他の動詞や助動詞「たり」「き」などと接続します。終止形は文を終わらせる形、連体形は名詞を修飾する形です。
已然形は「すでに起こったこと」を仮定する形で、接続助詞「ば」と接続します。命令形は命令を表す形です。これら6つの活用形を正しく使い分けることが、古文文法の基本となります。河合塾や駿台予備校の古文講座でも、この6つの活用形の理解から授業が始まります。
なぜ動詞活用を学ぶ必要があるのか
動詞活用を学ぶ最大の理由は、古文を正確に読解するためです。古文では、動詞の活用形によって意味が大きく変わることがあります。たとえば「書かむ」と「書きたり」では、前者は「これから書くだろう(推量)」という意味で、後者は「書いてしまった(完了)」という意味になります。
また、助動詞を正しく理解するためにも、動詞活用の知識は欠かせません。助動詞には「未然形接続」「連用形接続」などの接続のルールがあります。動詞の活用形が分からなければ、どの助動詞が使われているのかを判断することができません。「書かず」の「ず」が打消の助動詞だと分かるのは、「書か」が未然形だと理解しているからです。
定期テストや大学入試では、動詞活用に関する問題が必ず出題されます。センター試験(現在の大学入学共通テスト)でも、動詞の活用形を問う問題や、活用の種類を判断させる問題が頻出しています。京都大学や大阪大学などの国立大学の二次試験でも、古文の正確な読解力が求められるため、動詞活用の理解は必須です。
さらに、動詞活用を理解することで、古文の学習効率が格段に上がります。一つひとつの単語を丸暗記するのではなく、パターンとして理解できるため、覚える量が大幅に減ります。9種類の活用パターンを覚えれば、数百・数千の動詞に対応できるようになるのです。これは、まるで数学の公式を覚えるようなもので、一度理解すれば応用が効くようになります。
動詞活用の種類を理解しよう
古文の動詞活用には全部で9種類のパターンがあります。これは現代語の活用よりも複雑に見えますが、規則性を理解すれば決して難しくありません。9種類の活用は、大きく分けて規則活用と変格活用の2つに分類できます。規則活用には四段活用、上一段活用、下一段活用、上二段活用、下二段活用の5種類があり、変格活用にはナ行変格活用、ラ行変格活用、サ行変格活用、カ行変格活用の4種類があります。
9種類の活用パターン一覧
古文の動詞活用9種類を一覧で示すと、理解しやすくなります。以下の表で全体像を把握しましょう。
| 活用の種類 | 代表的な動詞 | 特徴 |
|---|---|---|
| 四段活用 | 書く、立つ、死ぬ | 最も基本的な活用。動詞の大半がこれ。 |
| 上一段活用 | 着る、見る、居る | イ段で活用する。数が少ない。 |
| 下一段活用 | 蹴る | エ段で活用する。「蹴る」のみ。 |
| 上二段活用 | 起く、落つ、恨む | イ段とウ段で活用する。 |
| 下二段活用 | 受く、得、捨つ | エ段とウ段で活用する。 |
| ナ行変格活用 | 死ぬ、往ぬ | 2語のみ。特殊な活用。 |
| ラ行変格活用 | あり、をり、はべり、いまそかり | 4語のみ。補助動詞として重要。 |
| サ行変格活用 | す、おはす | 「する」の古語形。 |
| カ行変格活用 | 来 | 「来(く)」のみ。 |
この表を見ると分かるように、変格活用の動詞は数が非常に限られています。ナ行変格活用は2語、ラ行変格活用は4語、サ行変格活用は2語程度、カ行変格活用は1語のみです。つまり、変格活用の動詞はすべて暗記できるということです。
一方、規則活用の中でも四段活用が圧倒的に多く、古文に出てくる動詞の大半を占めています。そのため、まず四段活用をしっかりマスターすることが効率的な学習法といえます。上一段活用と下一段活用は数が少なく、特に下一段活用は「蹴る」しかないため、覚えやすいです。
上二段活用と下二段活用は、四段活用の次に重要な活用です。これらは現代語の上一段活用・下一段活用と対応関係にあります。たとえば、古文の「起く(上二段活用)」は現代語で「起きる(上一段活用)」、古文の「受く(下二段活用)」は現代語で「受ける(下一段活用)」になります。この対応関係を理解すると、古文と現代語のつながりが見えてきます。
活用の種類を見分ける方法
動詞の活用の種類を見分けるには、いくつかのステップを踏む必要があります。最も確実な方法は、未然形を確認することです。動詞に打消の助動詞「ず」を付けてみて、どのような形になるかを調べます。
たとえば「書く」という動詞の場合、「書かず」となります。この「書か」の母音は「a」つまりア段です。次に連用形を確認すると「書きたり」となり、「書き」の母音は「i」つまりイ段です。さらに終止形は「書く」でウ段、已然形は「書けば」でエ段となります。このようにア・イ・ウ・エの4つの段にわたって活用するため、「四段活用」と呼ばれます。
一方、「着る」という動詞を見てみましょう。「着ず」で未然形は「着」、「着たり」で連用形は「着」、終止形は「着る」、已然形は「着れば」です。すべてイ段(「i」の音)で活用しているため、「上一段活用」となります。
見分け方のポイントをまとめると次のようになります。
- 四段活用:ア・イ・ウ・エの4段を使う
- 上一段活用:イ段のみで活用する
- 下一段活用:エ段のみで活用する
- 上二段活用:イ段とウ段の2段を使う
- 下二段活用:エ段とウ段の2段を使う
これらの見分け方を実践的に使えるようになるには、実際の問題演習が不可欠です。河合塾の「ステップアップノート30古典文法基礎ドリル」や、旺文社の「古文文法問題演習」などの問題集を使って、繰り返し練習することが大切です。最初は時間がかかっても、慣れてくると瞬時に活用の種類が判断できるようになります。
活用形の名前と役割
6つの活用形には、それぞれ固有の役割と接続する言葉が決まっています。この役割を理解することが、古文読解の鍵となります。
未然形は、まだ実現していない事柄を表すときに使います。打消の助動詞「ず」、推量の助動詞「む」「むず」、意志の助動詞「む」などが未然形に接続します。たとえば「書かず(書かない)」「書かむ(書くだろう)」のように使われます。名前の「未然」は「いまだ然らず(まだそうなっていない)」という意味で、これから起こることや起こらないことを表現するための形です。
連用形は、他の用言に連なる形という意味です。過去の助動詞「き」「けり」、完了の助動詞「つ」「ぬ」「たり」「り」、希望の助動詞「たし」などが連用形に接続します。また、動詞と動詞をつなぐときにも連用形が使われます。「書きて去ぬ(書いて去った)」のように、動作が連続する場面で用いられます。
終止形は文を終わらせる形で、文末に置かれることが多いです。また、推量の助動詞「べし」「まじ」や、伝聞の助動詞「なり」などが終止形に接続します。「花咲く(花が咲く)」のように、そこで文が完結する形です。
連体形は名詞を修飾する形です。「書く人(書く人)」のように、後ろに名詞が続くときに使われます。また、推量の助動詞「らむ」「けむ」、断定の助動詞「なり」などが連体形に接続します。連体形は古文では終止形と異なる形を取ることが多いため、注意が必要です。
已然形は、仮定条件を表す接続助詞「ば」や、原因理由を表す接続助詞「ば」「ど」「ども」などと接続します。「書けば(書くと、書くので)」のように使われます。已然とは「すでに然り(すでにそうである)」という意味で、確定した事柄を前提とする表現に用いられます。
命令形は、命令や禁止を表すときに使われます。「書け(書きなさい)」のように、相手に動作を促す形です。古文では命令形の使用頻度は現代語ほど高くありませんが、会話文などで時々登場します。
これら6つの活用形と接続する助動詞・助詞の組み合わせを覚えることが、古文文法の基礎を固める上で極めて重要です。代々木ゼミナールの「古文文法基礎講座」では、この接続関係を徹底的に訓練することで、確実な文法力を身につけるカリキュラムが組まれています。
四段活用の特徴と覚え方
四段活用は古文の動詞活用の中で最も基本的で、かつ最も多く使われる活用です。古文に登場する動詞の約7割から8割が四段活用だといわれています。そのため、四段活用をマスターすることが、古文動詞活用の攻略への最短ルートとなります。四段活用の名前の由来は、活用する際にア段・イ段・ウ段・エ段の4つの段を使うことから来ています。
四段活用の基本ルール
四段活用の基本的なルールは非常にシンプルです。語幹(動詞の変化しない部分)の後ろに、活用語尾(変化する部分)がア・イ・ウ・エの順番で変化します。たとえば「書く」という動詞を例に取ると、語幹は「書」で、活用語尾が「か・き・く・く・け・け」と変化します。
6つの活用形と活用語尾の関係を整理すると以下のようになります。
- 未然形:ア段(か)→「書かず」
- 連用形:イ段(き)→「書きたり」
- 終止形:ウ段(く)→「書く。」
- 連体形:ウ段(く)→「書く人」
- 已然形:エ段(け)→「書けば」
- 命令形:エ段(け)→「書け。」
この補足として重要なのは、終止形と連体形が同じ形になるという点です。現代語では終止形も連体形も同じ形なので違和感はありませんが、古文では他の活用(特に上二段活用や下二段活用)では終止形と連体形が異なる形を取ります。四段活用では両方ともウ段で同じ形になることを覚えておきましょう。
四段活用の動詞を見分けるコツは、終止形がウ段の音で終わることです。「書く」「立つ」「死ぬ」「読む」「取る」など、語尾が「く・つ・ぬ・む・る」のようにウ段で終わる動詞は、ほとんどが四段活用です。ただし例外として、「蹴る」は下一段活用、「着る」「見る」「居る」などは上一段活用なので注意が必要です。
また、四段活用の特徴として、已然形と命令形が同じ形になることも覚えておきましょう。「書けば(已然形)」と「書け(命令形)」は、どちらも「書け」という同じ形ですが、後ろに続く言葉によって判断します。「ば」が続けば已然形、文末で使われていれば命令形です。
四段活用の動詞例と活用表
四段活用の代表的な動詞をいくつか挙げて、活用表で確認してみましょう。以下の表は、よく使われる四段活用動詞の活用パターンを示しています。
| 活用形 | 書く | 立つ | 読む | 取る |
|---|---|---|---|---|
| 未然形 | 書か | 立た | 読ま | 取ら |
| 連用形 | 書き | 立ち | 読み | 取り |
| 終止形 | 書く | 立つ | 読む | 取る |
| 連体形 | 書く | 立つ | 読む | 取る |
| 已然形 | 書け | 立て | 読め | 取れ |
| 命令形 | 書け | 立て | 読め | 取れ |
この表を見ると、すべての動詞が同じパターンで活用していることがよく分かります。語幹の最後の子音(k・t・m・r)は変わらず、その後ろの母音だけが「a・i・u・u・e・e」と規則的に変化しています。
四段活用の動詞は非常に多いため、すべてを覚える必要はありません。代表的なものを押さえておけば十分です。頻出する四段活用動詞としては、以下のようなものがあります。
- カ行四段:書く、聞く、行く、泣く
- サ行四段:刺す、指す、差す
- タ行四段:立つ、待つ、打つ、持つ
- ナ行四段:死ぬ(ただしナ変の可能性もあり)
- マ行四段:読む、住む、踏む、飲む
- ラ行四段:有り(ただしラ変の可能性もあり)、取る、帰る、知る
- ワ行四段:言ふ、笑ふ、思ふ
これらの動詞を実際の古文の中で見つけたら、活用表を思い浮かべて活用形を判断する練習をしましょう。早稲田大学や慶應義塾大学の入試問題では、古文の一節を示して動詞の活用形を答えさせる問題が出題されます。日頃から活用表に親しんでおくことが、本番での正確な解答につながります。
四段活用を見分けるコツ
四段活用かどうかを見分けるには、いくつかのチェックポイントがあります。最も確実な方法は、打消の助動詞「ず」を付けて未然形を確認することです。未然形がア段になれば四段活用の可能性が高いです。
たとえば「咲く」という動詞があったとします。これに「ず」を付けると「咲かず」となり、未然形「咲か」はア段です。次に連用形を確認すると「咲きたり」でイ段、終止形は「咲く」でウ段、已然形は「咲けば」でエ段となります。ア・イ・ウ・エの4段を使っているため、四段活用と判断できます。
ただし、注意すべき例外があります。それはナ行変格活用の「死ぬ」「往ぬ」です。これらは終止形が「死ぬ」「往ぬ」とナ行で終わるため、一見すると四段活用のように見えます。しかし、未然形が「死な」「往な」、連用形が「死に」「往に」となり、一部の活用形が特殊な変化をします。そのため、ナ行で終わる動詞を見たら、「これはナ変かもしれない」と疑ってかかることが大切です。
また、ラ行で終わる動詞にも注意が必要です。「有り」「居り」「侍り」「いまそがり」の4つはラ行変格活用です。これらは四段活用とは異なる特殊な活用をするため、別個に覚える必要があります。それ以外のラ行で終わる動詞(「取る」「知る」「帰る」など)は四段活用です。
見分け方のポイントをまとめると以下のようになります。
- 終止形がウ段で終わる→四段活用の可能性大
- ナ行で終わる→「死ぬ」「往ぬ」ならナ変、それ以外なら四段
- ラ行で終わる→「あり・をり・はべり・いまそかり」ならラ変、それ以外なら四段
- 未然形がア段、連用形がイ段、已然形がエ段→四段活用確定
これらのポイントを意識しながら、実際の古文を読む練習を重ねることが重要です。東進ハイスクールの「古文文法レベル別問題集」や、学研の「古文文法トレーニング」などの問題集を使って、四段活用の判別練習を繰り返しましょう。最初は時間がかかっても、100問、200問と解いていくうちに、見た瞬間に判断できるようになります。
上一段・下一段・上二段・下二段活用を攻略
四段活用の次に重要なのが、一段活用と二段活用です。これらは四段活用に比べて該当する動詞の数は少ないですが、頻出する動詞が多いため、しっかりマスターする必要があります。一段活用には上一段活用と下一段活用があり、二段活用には上二段活用と下二段活用があります。名前に「上」が付くものはイ段で活用し、「下」が付くものはエ段で活用します。
一段活用と二段活用の違い
一段活用と二段活用の最大の違いは、使う段の数です。一段活用は1つの段(イ段またはエ段)だけを使って活用するのに対し、二段活用は2つの段(イ段とウ段、またはエ段とウ段)を使って活用します。
具体的に比較してみましょう。上一段活用の代表的な動詞「見る」の活用は次のようになります。
- 未然形:見(イ段)
- 連用形:見(イ段)
- 終止形:見る(イ段+る)
- 連体形:見る(イ段+る)
- 已然形:見れ(イ段+れ)
- 命令形:見よ(イ段+よ)
すべての活用形で「見(み)」というイ段の音が保たれていることが分かります。これが一段活用の特徴です。
一方、上二段活用の代表的な動詞「起く」の活用は次のようになります。
- 未然形:起き(イ段)
- 連用形:起き(イ段)
- 終止形:起く(ウ段)
- 連体形:起くる(ウ段)
- 已然形:起くれ(ウ段)
- 命令形:起きよ(イ段)
イ段とウ段の2つの段を使っていることが分かります。これが二段活用の特徴です。
一段活用と二段活用のもう一つの大きな違いは、現代語との対応関係です。古文の二段活用動詞は、現代語ではほとんどが一段活用に変化しています。たとえば、古文の「起く(上二段)」は現代語で「起きる(上一段)」、古文の「受く(下二段)」は現代語で「受ける(下一段)」になります。この対応関係を理解すると、古文の動詞を現代語に訳すときに役立ちます。
逆に、古文の一段活用動詞は、現代語でも一段活用のままであることが多いです。「見る(上一段)」「着る(上一段)」「蹴る(下一段)」は、古文でも現代語でも同じ活用です。ただし、活用の仕方には若干の違いがあります。
上一段・下一段活用の特徴
上一段活用の動詞は非常に数が少なく、主なものは「着る」「見る」「居る」「射る」「煮る」「鋳る」の6つ程度です。これらはすべて暗記できる量なので、丸ごと覚えてしまいましょう。
上一段活用の活用表を確認します。「見る」を例に取ります。
| 活用形 | 見る | 着る | 接続例 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 見 | 着 | 見ず、着ず |
| 連用形 | 見 | 着 | 見たり、着たり |
| 終止形 | 見る | 着る | 見る。、着る。 |
| 連体形 | 見る | 着る | 見る人、着る人 |
| 已然形 | 見れ | 着れ | 見れば、着れば |
| 命令形 | 見よ | 着よ | 見よ。、着よ。 |
上一段活用の特徴は、未然形と連用形が同じ形になることです。「見」や「着」のように、語幹だけの形が未然形と連用形の両方に使われます。また、終止形と連体形も同じ「見る」「着る」となります。
下一段活用の動詞は、古文では「蹴る」ただ1つしかありません。この1語だけを覚えればよいので、非常に簡単です。「蹴る」の活用は以下の通りです。
- 未然形:蹴(エ段)
- 連用形:蹴(エ段)
- 終止形:蹴る
- 連体形:蹴る
- 已然形:蹴れ
- 命令形:蹴よ
上一段活用と全く同じパターンですが、イ段ではなくエ段を使っている点だけが異なります。「蹴る」は現代語でも下一段活用なので、活用の仕方も現代語とほぼ同じです。
一段活用を見分けるポイントは、終止形が「〜る」で終わり、未然形に「ず」を付けたときに「〜ず」となることです。たとえば「見る」なら「見ず」、「着る」なら「着ず」となります。四段活用の「書く」が「書かず」となるのとは対照的です。
上二段・下二段活用の特徴
上二段活用は、イ段とウ段の2つの段を使って活用します。代表的な動詞には「起く」「落つ」「恨む」「悔ゆ」「老ゆ」「報ゆ」などがあります。これらの動詞は現代語では「起きる」「落ちる」「恨みる」のように上一段活用に変化しています。
上二段活用の活用表を「起く」で確認しましょう。
| 活用形 | 起く | 落つ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 起き | 落ち | イ段を使用 |
| 連用形 | 起き | 落ち | イ段を使用 |
| 終止形 | 起く | 落つ | ウ段を使用 |
| 連体形 | 起くる | 落つる | ウ段+る |
| 已然形 | 起くれ | 落つれ | ウ段+れ |
| 命令形 | 起きよ | 落ちよ | イ段+よ |
上二段活用の最大の特徴は、終止形と連体形が異なる形になることです。終止形は「起く」ですが、連体形は「起くる」となり、「る」が付きます。これは四段活用や一段活用とは大きく異なる点です。また、未然形と連用形は同じ「起き」となり、イ段を使います。
下二段活用は、エ段とウ段の2つの段を使って活用します。代表的な動詞には「受く」「得」「捨つ」「寝」「出づ」などがあります。これらも現代語では「受ける」「得る」「捨てる」「寝る」「出る」のように下一段活用に変化しています。
下二段活用の活用表を「受く」で確認します。
- 未然形:受け(エ段)
- 連用形:受け(エ段)
- 終止形:受く(ウ段)
- 連体形:受くる(ウ段+る)
- 已然形:受くれ(ウ段+れ)
- 命令形:受けよ(エ段+よ)
上二段活用と全く同じパターンですが、イ段の代わりにエ段を使っている点が異なります。
二段活用を見分けるポイントは、終止形と連体形の形が違うことです。終止形が「起く」「受く」のような形で、連体形が「起くる」「受くる」のように「る」が付く場合、それは二段活用です。また、現代語で一段活用になっている動詞は、古文では二段活用である可能性が高いです。
実際の例文で確認しよう
ここまで学んだ一段活用と二段活用を、実際の古文の例文で確認してみましょう。以下の例文で動詞の活用を判断してみてください。
例文1:「月を見つつ物を思ふ。」(月を見ながら物思いにふける)
この文の「見」は上一段活用の動詞「見る」の連用形です。「つつ」は接続助詞で、連用形に接続するため、「見」が連用形だと分かります。上一段活用では未然形と連用形が同じ形なので、後ろに続く言葉で判断する必要があります。
例文2:「花の散りぬるを惜しむ。」(花が散ってしまったのを惜しむ)
「散り」は上二段活用の動詞「散る」の連用形です。「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、連用形に接続します。古文では「散る」は上二段活用ですが、現代語では上一段活用になっています。
例文3:「夜の明けぬれば帰る。」(夜が明けたので帰る)
「明け」は下二段活用の動詞「明く」の未然形です。「ぬれば」は完了の助動詞「ぬ」の已然形+接続助詞「ば」で、未然形に接続します。現代語では「明ける」という下一段活用になります。
例文4:「衣を着て出づ。」(衣を着て出かける)
「着」は上一段活用の動詞「着る」の連用形です。接続助詞「て」は連用形に接続するため、「着」が連用形だと判断できます。
このように、実際の古文の中で動詞の活用を判断する練習を積むことが大切です。明治大学や青山学院大学の入試問題では、古文の一節を示して「傍線部の動詞の活用の種類と活用形を答えよ」という問題が頻出します。Z会の「古文上達 基礎編」や、桐原書店の「実戦古典文法」などの参考書を使って、実践的な演習を重ねましょう。
ナ行変格活用・ラ行変格活用・サ行変格活用・カ行変格活用の完全マスター
変格活用は、規則的な活用パターンに当てはまらない特殊な活用をする動詞のグループです。「変格」という名前の通り、通常の活用とは異なる「変わった」活用をします。変格活用の動詞は数が非常に限られているため、すべて丸暗記することが可能です。ナ行変格活用、ラ行変格活用、サ行変格活用、カ行変格活用の4種類がありますが、合わせても10語程度しかありません。
変格活用とは
変格活用とは、四段活用や二段活用のような規則的なパターンに当てはまらず、独自の活用パターンを持つ動詞のことです。なぜこのような特殊な活用が存在するのかというと、これらの動詞が非常に古い時代から使われてきた基本的な動詞だからです。
言語は時代とともに変化しますが、頻繁に使われる基本的な動詞ほど、古い形を保ったまま残りやすい傾向があります。英語でも、「be動詞(am, is, are, was, were)」や「go(went)」のような基本的な動詞が不規則な活用をするのと同じ理由です。
変格活用の動詞は数が少ないため、以下のように整理して覚えましょう。
- ナ行変格活用:死ぬ、往ぬ(2語のみ)
- ラ行変格活用:あり、をり、はべり、いまそかり(4語のみ)
- サ行変格活用:す、おはす(2語程度)
- カ行変格活用:来(く)(1語のみ)
これらをすべて合わせても9語です。この9語の活用パターンを完璧に覚えてしまえば、変格活用は攻略できます。変格活用の動詞は古文の中で非常に頻繁に登場するため、確実にマスターすることが重要です。
ナ行変格活用「死ぬ」「往ぬ」
ナ行変格活用の動詞は「死ぬ」と「往ぬ(いぬ)」の2語だけです。「往ぬ」は「行ってしまう」「去る」という意味で、現代語ではほとんど使われませんが、古文では頻出します。
ナ行変格活用の活用表を見てみましょう。
| 活用形 | 死ぬ | 往ぬ | 接続例 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 死な | 往な | 死なず、往なむ |
| 連用形 | 死に | 往に | 死にたり、往にき |
| 終止形 | 死ぬ | 往ぬ | 死ぬ。、往ぬ。 |
| 連体形 | 死ぬる | 往ぬる | 死ぬる人、往ぬる鳥 |
| 已然形 | 死ぬれ | 往ぬれ | 死ぬれば、往ぬれど |
| 命令形 | 死ね | 往ne | 死ne。、往ne。 |
ナ行変格活用の特徴は、終止形が「ぬ」で、連体形が「ぬる」、已然形が「ぬれ」となることです。これは四段活用とも二段活用とも異なる独特のパターンです。特に連体形と已然形の「ぬる」「ぬれ」という形は、完了の助動詞「ぬ」の連体形・已然形と全く同じ形になるため、見分けに注意が必要です。
見分け方のポイントは、前後の文脈を確認することです。「死ぬる人」のように名詞を修飾している場合は、動詞「死ぬ」の連体形です。一方、「書きぬる」のように他の動詞の連用形の後ろに来ている場合は、助動詞「ぬ」の連体形です。
また、ナ行変格活用は未然形が「死な」「往な」とナ段になり、連用形が「死に」「往に」とニ段になります。四段活用なら未然形は「死な」で同じですが、連用形は「死に」ではなく「死に」となるため、ここで区別できます。実際には、「死ぬ」と「往ぬ」の2語だけを丸暗記してしまうのが最も確実です。
ラ行変格活用「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」
ラ行変格活用の動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」の4語です。これらはすべて存在や状態を表す動詞で、古文の中で非常によく使われます。特に「あり」は最頻出の動詞の一つです。
ラ行変格活用の活用表を「あり」で確認しましょう。
| 活用形 | あり | をり | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | あら | をら | ア段 |
| 連用形 | あり | をり | イ段 |
| 終止形 | あり | をり | イ段(連用形と同形) |
| 連体形 | ある | をる | ウ段 |
| 已然形 | あれ | をれ | エ段 |
| 命令形 | あれ | をre | エ段(已然形と同形) |
ラ行変格活用の最大の特徴は、連用形と終止形が同じ形になることです。「あり」という形が、連用形でも終止形でも使われます。また、連体形は「ある」となり、四段活用のような形になります。未然形は「あら」、已然形は「あれ」と、それぞれ独特の形を取ります。
「はべり」と「いまそかり」も同じパターンで活用します。「はべり」は「あります」「おります」という丁寧語、「いまそかり」は「いらっしゃる」という尊敬語です。これらは会話文の中でよく登場します。
ラ行変格活用を見分けるポイントは、この4語を丸暗記することです。「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」を見たら、自動的に「これはラ変だ」と判断できるようにしましょう。特に「あり」は古文の中で最も頻繁に登場する動詞の一つなので、活用パターンを完璧に覚えることが重要です。
サ行変格活用とカ行変格活用
サ行変格活用の代表的な動詞は「す」と「おはす」です。「す」は「する」という意味で、現代語の「する」に相当します。「おはす」は「いらっしゃる」という尊敬語です。
サ行変格活用「す」の活用表は以下の通りです。
| 活用形 | す | 接続例 |
|---|---|---|
| 未然形 | せ | せず、せむ |
| 連用形 | し | したり、して |
| 終止形 | す | す。 |
| 連体形 | する | する人、する事 |
| 已然形 | すれ | すれば、すれど |
| 命令形 | せよ | せよ。 |
サ行変格活用の特徴は、未然形が「せ」、連用形が「し」、終止形が「す」と、すべて異なる形になることです。これは現代語の「する」の活用(せ・し・する・すれ)とほぼ同じパターンです。「おはす」も同様に活用します。
カ行変格活用は「来(く)」ただ1語です。「来る」という意味で、古文では非常に頻繁に使われます。
カ行変格活用「来」の活用表は以下の通りです。
- 未然形:来(こ)
- 連用形:来(き)
- 終止形:来(く)
- 連体形:来る(くる)
- 已然形:来れ(くれ)
- 命令形:来よ(こよ)
カ行変格活用の特徴は、未然形が「こ」、連用形が「き」、終止形が「く」と、すべて異なる読み方になることです。これも現代語の「来る」の活用(こ・き・くる・くれ)とほぼ同じパターンです。
サ行変格活用とカ行変格活用は、それぞれ「す」と「来」という基本的な動詞なので、古文の中で何度も登場します。活用パターンを完璧に覚えて、見た瞬間に判断できるようにしましょう。上智大学や同志社大学の入試問題では、変格活用の動詞を含む文を正しく現代語訳させる問題が出題されます。活用を正確に理解していないと、正しい訳ができません。
変格活用をマスターするコツは、語呂合わせや音読を活用することです。たとえば、ラ行変格活用の4語「あり・をり・はべり・いまそかり」をリズムに乗せて何度も声に出して読むと、自然に覚えられます。また、実際の古文作品(「源氏物語」や「枕草子」など)を読む中で、これらの動詞に出会ったら印をつけて、活用形を確認する習慣をつけましょう。
実践問題で活用の見分け方をマスターしよう
ここまで学んだ動詞活用の知識を、実際の問題を通じて確認していきましょう。活用の種類や活用形を正確に判断できるようになることが、古文読解力の向上につながります。定期テストや入試問題でも頻出する問題形式なので、しっかりマスターすることが大切です。
活用の種類を判定する手順
動詞の活用の種類を判定するには、段階的な手順を踏むことが重要です。以下のステップに従って判断すれば、確実に活用の種類を見分けることができます。
ステップ1:変格活用かどうかを確認する
まず最初に、その動詞が変格活用の動詞かどうかを確認します。変格活用の動詞は数が限られているため、丸暗記できます。以下の動詞を見たら、すぐに変格活用と判断しましょう。
- ナ行変格活用:死ぬ、往ぬ
- ラ行変格活用:あり、をり、はべり、いまそかり
- サ行変格活用:す、おはす
- カ行変格活用:来(く)
これらの動詞でなければ、規則活用(四段・一段・二段)のいずれかです。
ステップ2:終止形の形を確認する
動詞の終止形(辞書に載っている形)を確認します。終止形が「〜る」で終わる場合は、一段活用または二段活用の可能性があります。終止形がウ段の音(く・つ・ぬ・む・る・ぶ・ぐ・す)で終わる場合は、四段活用の可能性が高いです。
ステップ3:未然形を確認する
打消の助動詞「ず」を付けて、未然形の形を確認します。未然形がア段なら四段活用、イ段なら上一段または上二段、エ段なら下一段または下二段の可能性があります。
ステップ4:連体形を確認する
終止形と連体形を比較します。終止形と連体形が同じ形なら四段活用または一段活用、異なる形(連体形に「る」が付く)なら二段活用です。
これらのステップを具体的な例で確認してみましょう。
例題1:「散る」という動詞の活用の種類を判定してください。
ステップ1:変格活用の9語には含まれていません。
ステップ2:終止形は「散る」で、「る」で終わっています。一段活用または二段活用の可能性があります。
ステップ3:未然形を確認すると「散らず」となります。あれ、これはおかしいです。「散りず」ではなく「散らず」ということは、未然形が「散ら」でア段です。これは四段活用の特徴です。
実は「散る」は古文ではラ行四段活用です。現代語では「散る」という上一段活用ですが、古文では四段活用なのです。このように、現代語と古文で活用の種類が異なる動詞があるため注意が必要です。
例題2:「起く」という動詞の活用の種類を判定してください。
ステップ1:変格活用の9語には含まれていません。
ステップ2:終止形は「起く」でウ段で終わっています。四段活用の可能性もありますが、「起く」という形は少し特殊です。
ステップ3:未然形を確認すると「起きず」となり、未然形は「起き」でイ段です。四段活用ならア段のはずなので、これは四段活用ではありません。
ステップ4:連体形を確認すると「起くる人」となり、連体形は「起くる」です。終止形「起く」と連体形「起くる」が異なる形になっています。イ段とウ段を使い、終止形と連体形が異なるということは、上二段活用です。
よく出る問題パターンと解き方
定期テストや入試問題では、いくつかの典型的な問題パターンがあります。それぞれの問題形式に慣れておくことで、本番でスムーズに解答できるようになります。
問題パターン1:活用の種類を答える問題
「次の傍線部の動詞の活用の種類を答えなさい」という形式の問題です。これは前述の判定手順を使って解きます。
例:「花の散りぬるを見る。」の「散り」の活用の種類を答えなさい。
解答:まず終止形を考えます。「散る」です。次に未然形「散らず」を確認するとア段なので、ラ行四段活用と判断できます。
問題パターン2:活用形を答える問題
「次の傍線部の動詞の活用形を答えなさい」という形式の問題です。後ろに続く言葉から活用形を判断します。
例:「月を見て物思ふ。」の「見」の活用形を答えなさい。
解答:「見」の後ろには接続助詞「て」が続いています。「て」は連用形に接続するため、「見」は連用形です。
問題パターン3:同じ活用形を選ぶ問題
「次の中から、傍線部と同じ活用形のものを選びなさい」という形式の問題です。それぞれの選択肢の活用形を判断して比較します。
例:「書かず」の「書か」と同じ活用形のものを選びなさい。
選択肢:ア. 書きたり イ. 書くべし ウ. 書かむ エ. 書けば
解答:「書かず」の「書か」は未然形です。「ず」は未然形に接続する助動詞だからです。選択肢を確認すると、ア. 「書き」は連用形、イ. 「書く」は終止形、ウ. 「書か」は未然形、エ. 「書け」は已然形です。よって答えはウです。
問題パターン4:活用表を完成させる問題
「次の動詞の活用表の空欄を埋めなさい」という形式の問題です。活用のパターンを理解していれば簡単に解けます。
例:「見る(上一段活用)」の活用表で、未然形と連用形を答えなさい。
解答:上一段活用では、未然形と連用形は同じ形で「見」です。
これらの問題パターンを、実際の問題集で繰り返し練習することが重要です。数研出版の「チャート式基礎からの古典文法」や、第一学習社の「古典文法 演習ドリル」などを使って、様々な問題に触れましょう。立命館大学や関西学院大学の過去問にも、これらの問題パターンが頻出しています。
間違えやすいポイントと注意点
動詞活用の学習で、生徒が間違えやすいポイントがいくつかあります。これらを事前に把握しておくことで、ミスを防ぐことができます。
間違えやすいポイント1:現代語と古文で活用が異なる動詞
現代語と古文で活用の種類が異なる動詞があります。代表的なものは以下の通りです。
- 「起きる」:現代語は上一段活用、古文「起く」は上二段活用
- 「受ける」:現代語は下一段活用、古文「受く」は下二段活用
- 「散る」:現代語は上一段活用、古文「散る」はラ行四段活用
- 「寝る」:現代語は下一段活用、古文「寝」は下二段活用
これらの動詞を見たときに、現代語の感覚で判断してしまうと間違えます。古文独自の活用パターンを覚える必要があります。
間違えやすいポイント2:ナ行変格活用と四段活用の混同
「死ぬ」「往ぬ」はナ行変格活用ですが、終止形が「ぬ」で終わるため、四段活用と間違えやすいです。ナ行変格活用は2語しかないので、この2語を見たら「ナ変だ」と即座に判断できるようにしましょう。
見分け方は、連体形を確認することです。ナ行変格活用なら連体形は「死ぬる」「往ぬる」となり、「ぬる」という形になります。四段活用なら連体形は終止形と同じ「死ぬ」のままです。
間違えやすいポイント3:ラ行変格活用と四段活用の混同
「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」はラ行変格活用ですが、これらも四段活用と間違えやすいです。特に「あり」は頻出するため、確実に覚える必要があります。
見分け方は、終止形と連用形が同じ形になることです。ラ行変格活用では「あり」という形が、連用形でも終止形でも使われます。四段活用なら連用形は「あり」、終止形は「あり」ではなく「ある」となるはずです。
間違えやすいポイント4:助動詞「ぬ」と動詞「死ぬ」「往ぬ」の混同
完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」と、ナ行変格活用動詞「死ぬ」「往ぬ」の連体形「死ぬる」「往ぬる」は、形が非常に似ています。文脈で判断する必要があります。
見分け方は、前の言葉を確認することです。「書きぬる」のように他の動詞の連用形の後ろに来ていれば助動詞「ぬ」、「死ぬる人」のように単独で名詞を修飾していれば動詞「死ぬ」の連体形です。
間違えやすいポイント5:已然形と命令形の混同
四段活用では、已然形と命令形が同じ形になります。「書けば」の「書け」は已然形ですが、「書け。」の「書け」は命令形です。後ろに「ば」が続けば已然形、文末なら命令形と判断します。
これらの間違えやすいポイントを意識しながら学習することで、正確な判断力が身につきます。間違えたところはノートにまとめて、繰り返し復習しましょう。北海道大学や九州大学の入試問題では、これらの紛らわしい動詞を含む問題が出題されることがあります。
定期テスト対策と効率的な学習法
動詞活用の知識を定期テストや入試で得点に結びつけるためには、効率的な学習法を実践することが重要です。ただ暗記するだけでなく、理解を深めながら反復練習を重ねることで、確実に身につけることができます。ここでは、実際に効果が高い学習法を紹介します。
活用表の効果的な暗記方法
活用表を効率的に暗記するには、いくつかのテクニックを組み合わせることが効果的です。単純に眺めているだけでは頭に入りにくいため、能動的な学習方法を取り入れましょう。
方法1:声に出して読む
活用表を声に出して何度も読むことが、最も基本的で効果的な方法です。たとえば「書か・書き・書く・書く・書け・書け」とリズムに乗せて繰り返し唱えます。耳からも情報が入るため、目で見るだけよりも記憶に残りやすくなります。
変格活用の動詞も、リズムに乗せて覚えましょう。「死な・死に・死ぬ・死ぬる・死ぬれ・死ね」「あら・あり・あり・ある・あれ・あれ」のように、繰り返し声に出すことで自然に頭に入ります。通学中や休み時間など、隙間時間を活用して音読すると効果的です。
方法2:書いて覚える
活用表をノートに何度も書くことも有効です。ただし、ただ書き写すだけでなく、何も見ずに書けるかを確認しながら練習しましょう。最初は見ながら書き、次に何も見ずに書いてみて、間違えたところをチェックします。この繰り返しで確実に暗記できます。
おすすめの練習方法は、動詞名だけを書いて活用表を自分で埋める「穴埋め練習」です。たとえば「書く:_・_・_・_・_・_」と書いて、6つの活用形を埋めていきます。慣れてきたら、活用形の名前も一緒に書く練習をすると、より確実に覚えられます。
方法3:語呂合わせを活用する
変格活用の動詞など、覚えにくいものは語呂合わせを使うと効果的です。たとえば、ラ行変格活用の4語「あり・をり・はべり・いまそかり」は「ありをりはべりいまそかり」と一気に唱えて覚えます。リズムが良いので、すぐに覚えられます。
また、活用形の順番を覚える語呂合わせとして「未・連・終・連・已・命(み・れん・しゅう・れん・い・めい)」があります。これを「未練終連已命(みれんしゅうれんいめい)」と覚えると、活用形の順番を忘れません。
方法4:アプリやフラッシュカードを使う
スマートフォンの学習アプリやフラッシュカードアプリを使って、隙間時間に復習することも効果的です。動詞名を見て活用形を答える、または活用形を見て動詞名を答えるクイズ形式で練習すると、楽しみながら覚えられます。
自分でフラッシュカードを作る場合は、表に動詞名と活用の種類、裏に活用表を書きます。カードをシャッフルして、ランダムに覚えているかチェックすると効果的です。駿台予備校や河合塾の講師も、フラッシュカードを使った暗記法を推奨しています。
定期テストで頻出する問題形式
定期テストでは、いくつかの典型的な問題形式が繰り返し出題されます。これらの形式に慣れておくことで、本番で慌てずに解答できるようになります。
頻出問題1:活用の種類と活用形を答える問題
最も基本的な問題形式です。古文の一節が示され、傍線部の動詞の活用の種類と活用形を答えます。
例:「花の散りぬるを見る。」傍線部「散り」の活用の種類と活用形を答えなさい。
解答:四段活用・連用形
この問題を解くには、まず終止形を考え(散る)、次に活用の種類を判定し(四段活用)、最後に後ろの言葉から活用形を判断します(「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、連用形接続なので「散り」は連用形)。
頻出問題2:活用表を完成させる問題
動詞の活用表の一部が空欄になっており、それを埋める問題です。活用のパターンを理解していれば簡単に解けます。
例:「起く(上二段活用)」の活用表で、未然形・終止形・連体形を答えなさい。
解答:未然形「起き」、終止形「起く」、連体形「起くる」
頻出問題3:同じ活用形・同じ活用の種類を選ぶ問題
複数の選択肢の中から、指定された条件に合うものを選ぶ問題です。それぞれの動詞の活用を判断する必要があります。
例:次の中から、四段活用の動詞を選びなさい。
選択肢:ア. 見る イ. 書く ウ. 起く エ. 蹴る
解答:イ. 書く(ア. 見るは上一段、ウ. 起くは上二段、エ. 蹴るは下一段)
頻出問題4:助動詞の接続から活用形を答える問題
助動詞の接続の知識と組み合わせた問題です。助動詞がどの活用形に接続するかを知っていれば解けます。
例:「書かむ」の「書か」の活用形を答えなさい。
解答:未然形(助動詞「む」は未然形に接続するため)
これらの問題形式を一通り練習しておくことで、定期テストで高得点を取ることができます。テスト前には、教科書に出てきた動詞をすべてリストアップして、それぞれの活用の種類を確認する復習をしましょう。特に、物語文(「竹取物語」「伊勢物語」など)や随筆文(「枕草子」「徒然草」など)に出てくる頻出動詞は、必ず押さえておきましょう。
おすすめの参考書と勉強法
動詞活用を効率的にマスターするためには、自分のレベルに合った参考書や問題集を選ぶことが重要です。以下、レベル別におすすめの教材を紹介します。
初級者向け(古文文法が苦手な人)
まず基礎をしっかり固めたい人には、以下の参考書がおすすめです。
- 「富井の古典文法をはじめからていねいに」(東進ブックス):古文文法の基礎を分かりやすく解説。動詞活用の章が特に詳しい。
- 「マドンナ古文」(学研プラス):親しみやすい語り口で、古文が苦手な人でも読みやすい。
- 「ステップアップノート30古典文法基礎ドリル」(河合出版):書き込み式で基礎から学べる。
初級者は、まず活用の仕組みを理解することが大切です。いきなり暗記しようとせず、なぜそのような活用をするのかを理解しながら学習しましょう。上記の参考書は、理屈から丁寧に説明してくれるため、理解しやすいです。
中級者向け(基礎は分かったが定着させたい人)
基礎は理解できたが、まだ定着していない人には、以下の問題集がおすすめです。
- 「古文文法問題演習」(旺文社):様々なレベルの問題が収録されており、段階的に力をつけられる。
- 「古典文法 演習ドリル」(第一学習社):定期テスト対策に最適。基本問題から応用問題まで幅広く収録。
- 「チャート式基礎からの古典文法」(数研出版):詳しい解説と豊富な例文で、確実に力がつく。
中級者は、問題演習を通じて知識を定着させることが重要です。間違えた問題は必ず復習し、なぜ間違えたのかを分析しましょう。特に、活用の種類を見分ける問題や、活用形を判断する問題を重点的に練習すると効果的です。
上級者向け(入試レベルの実力をつけたい人)
大学入試レベルの実力をつけたい人には、以下の教材がおすすめです。
- 「古文上達 基礎編」(Z会出版):入試レベルの問題を通じて、実践的な力をつけられる。
- 「実戦古典文法」(桐原書店):難関大学の過去問を中心に収録。実戦力を鍛えるのに最適。
- 「得点奪取古文」(河合出版):記述式問題の対策に特化。国公立大学志望者におすすめ。
上級者は、実際の入試問題を解くことで実戦力を養いましょう。東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学などの過去問を解いて、難易度の高い問題に慣れることが重要です。
効率的な勉強法のポイント
参考書や問題集を使った学習を効率化するためのポイントをまとめます。
- 毎日少しずつ学習する:1日10分でも良いので、毎日継続することが大切。
- 間違えた問題をノートにまとめる:自分専用の「間違えノート」を作り、繰り返し復習する。
- 実際の古文を読む:問題集だけでなく、実際の古文作品を読むことで、文脈の中で動詞活用を理解できる。
- 音読を取り入れる:古文を声に出して読むことで、リズムや語感が身につく。
- 友達と問題を出し合う:クラスメートと一緒に学習すると、楽しみながら覚えられる。
動詞活用は古文文法の基礎中の基礎です。ここをしっかりマスターすれば、助動詞や敬語などの他の文法事項も理解しやすくなります。焦らず、着実に力をつけていきましょう。代々木ゼミナールや東進ハイスクールの講師も、「動詞活用を制する者は古文を制す」と言っています。地道な努力が、必ず結果につながります。
