平安の雅な恋が、ある日、突然終わりを告げる。「夕顔」の後半は、美しく儚い恋の結末が描かれます。予兆もなく襲う“もののけ”と、愛する人を失った源氏の涙。
この記事では、夕顔の最期とその余韻を、やさしい現代語訳とともに丁寧に解説。無常観・人物の心情・古語の意味まで、テスト対策にも使えるようにまとめました。
目次
【原文:死の気配〜別れ】
【現代語訳つき】彼女の死と源氏の後悔
ここでは、夕顔が突然の死を迎え、光源氏が喪失と後悔に直面する場面を原文と現代語訳で紹介します。
原文:
女、もののけにとられたるやうにて、ついにかきくらし臥したり。
いと恐ろしくて、人々あわてあへり。
うつし心もなく、いみじく泣き騒ぐ。
かくしもありける命とは、夢の心地ぞしたまふ。
いとあはれに、いみじうて、袖も乾かず。現代語訳:
女性(夕顔)はもののけに取り憑かれたかのように、突然目の前が真っ暗になって倒れてしまった。
とても恐ろしくて、周囲の人々は混乱し、取り乱した。
源氏も正気を失い、激しく泣き叫んだ。
このように突然終わってしまう命だったとは、まるで夢のような気持ちでいた。
あまりにも悲しく、辛くて、袖も乾かないほど涙を流し続けた。
この場面では、突然の死と、それに直面した源氏の動揺と悲嘆が描かれています。古典特有の表現(かきくらす・いみじなど)を読み解くと、感情の揺れや無力感がより伝わってきます。
テストに出る語句・問題まとめ
よく出る古語と意味
古語 | 意味 |
---|---|
かきくらす | 心が暗くなる、悲しみに包まれる |
いみじ | とても(よい意味にも悪い意味にも使う) |
あはれ | しみじみとした感情、哀れみ |
うつし心 | 正気、現実感 |
よくあるテスト問題の例
- 源氏の涙の理由を説明せよ。
→ 愛する人を突然失い、無力さと後悔に襲われているため。 - 「かきくらし臥したり」の表現技法とは?
→ 比喩。死の衝撃を視覚的に描く。 - 「夢の心地ぞしたまふ」が表す心理とは?
→ 現実感がなく、呆然とする心境。
覚え方のコツ!ストーリーで覚える古典
- 恋が深まり、幸せな時間が続く
- もののけ登場で突然の体調変化
- 誰も手の施しようがないまま死別
- 源氏の涙と後悔、そして無常観
「まさか」が起こる展開を時系列で覚えると、テストでもストーリーの再現がしやすくなります。
まとめ|「夕顔」で伝えたいことは「儚さと愛の代償」
「夕顔」は、ただの恋物語ではなく、「命の脆さ」「深い愛ゆえの苦しみ」「人間の限界」といったテーマを通して、平安時代の死生観を描いています。
何気ない日々や出会いが突然終わりを告げるとき、残された者がどう向き合うのか──。夕顔の章は、私たちに「今を大切に生きる」ことの意味を静かに教えてくれます。
発展問題にチャレンジ!
① なぜ「夕顔」の死は、読者に強い印象を与えるのか?
- 予兆なく、突然起こる「死」の描写
- 「もののけ」に象徴される恐怖と運命
- 平安時代の人々が抱えていた不安感との共通点
② 「見るにしのびず」の源氏の行動と心情を考えよう
- 愛する人が苦しむ姿を見ていられない
- 手を差し伸べられないことへの無力感
- この体験が後の源氏に与える影響とは
③ 「いのち」とは何か、あなたの考えを四百字程度でまとめてみよう
夕顔の死をきっかけに、「命の価値」「人の一生」「愛との関係」について、自分なりの視点で自由に書いてみましょう。