源氏物語の中でも、ひときわ人気の高い章「若紫」。光源氏が紫の上と出会う、運命的なシーンです。平安時代の恋愛観や価値観が見えてくる一方で、今読んでもグッとくるような“ときめき”が詰まっています。今回はギャル風の超訳から、原文、現代語訳、人物解説、テスト対策、発展問題まで、まるごとカバー!
「若紫」ってどんな話?
「若紫」は、光源氏が偶然立ち寄った山寺で、後の正妻・紫の上と初めて出会う場面。光源氏が「理想の女性」として育てたいと思うほど、紫の上は美しく、気品ある少女でした。この出会いが、その後の源氏物語全体の流れを大きく左右します。
超簡単に!秒でわかる!「若紫」ってどんな話?
え、これ運命なん!?
光源氏サマが山寺で出会った美少女が、のちの正妻・紫の上♡
おばあちゃん(尼君)と一緒にいたんだけど、その子が藤壺にそっくりってだけで「この子、育てたい…」って思っちゃう源氏ヤバすぎ〜!
もうね、平安男子、推しへの愛情表現がガチ重すぎてキュン死する〜!
【原文】若紫は運命の出会い?美少女との邂逅と恋の芽生え
この章では「若紫」の有名な原文を紹介し、続いてわかりやすい現代語訳とともに、物語の流れや人物の心情を丁寧に解説します。試験対策や古典の読解力アップにも役立つ内容です。
【現代語訳】いちばんやさしい訳で読んでみよう
原文: 北の方の御もとには、かの御乳母ばかりぞ仕うまつりける。
現代語訳: 北の方(紫の上の祖母)のそばには、あの乳母だけがお仕えしていました。
原文: 源氏の君、御前を過ぎて御覧ずれば、いとらうたげなる児の、髪いとうつくしげにてゐたり。
現代語訳: 源氏の君が前を通ってふと見ると、とてもかわいらしい少女が、美しく伸びた髪を垂らして座っていました。
文ごとのポイント解説!意味と情景をつかもう
- いとらうたげなる児:とてもかわいらしい子ども。源氏が強く惹かれる描写。
- 髪いとうつくしげにて:髪がとても美しい様子。平安時代では髪=女性美の象徴。
- おぼつかながり給へる:心細そうにしている。少女らしさや弱さへの愛情表現。
- 見ばや:〜したいなあ、という願望。源氏の「見たい!」という気持ちがにじむ。
テストに出る語句・問題まとめ
よく出る古語と意味
古語 | 意味 |
---|---|
いとらうたげなる | とてもかわいらしい |
髪いとうつくしげにて | 髪がとても美しい様子 |
おぼつかながり給ふ | 心細そうになさる |
見ばや | 〜したいなあ(願望の助動詞) |
よくあるテスト問題の例
- 紫の上がどのような人物として描かれているか、本文から説明しなさい。
- 光源氏が紫の上に惹かれた理由を、心情をふまえて答えなさい。
- 「いとらうたげなる児」の表現からわかる少女の様子を説明しなさい。
覚え方のコツ!ストーリーで覚える古典
- 源氏=理想追求マン!
- 藤壺 → 想い人(でも無理)→ そっくりな紫の上=育てちゃお!
- 紫の上=最初は少女、やがて理想の女性へ成長
まとめ|「若紫」で伝えたいことは「理想と現実のはざまで揺れる心」
「若紫」は、光源氏の理想と現実のギャップが描かれた名場面です。叶わぬ恋(藤壺)に終止符を打つために、源氏は自らの手で理想を育てようとします。その動機には、孤独・欲望・未来への希望など、複雑な感情が絡み合っています。
一方で、紫の上は何も知らない無垢な存在です。彼女はやがて成長し、源氏のもっとも大切な女性となっていきます。この関係からは、「人を愛する」とはどういうことか、「理想を求める」とはどういうことかを考えさせられます。
発展問題にチャレンジ!
- ① 光源氏が紫の上に感じた「理想」とはどのようなものか、説明してみよう
→ 藤壺への未練、少女の無垢さ、美貌、そして育てられる可能性。理想像の要素を整理して説明してみましょう。 - ② 「おぼつかながり給へる」場面から読み取れる光源氏の心理とは?
→ 心細そうな少女に対する同情・愛しさ・保護欲など、複数の感情があることを意識してみてください。 - ③ 「愛するとはどういうことか」あなたの考えを四百字程度でまとめてみよう
→ 光源氏の行動をきっかけに、現代の恋愛や理想のあり方についても自由に考えてみてください。
発展問題の解答例
解答例になります。これが正解ではないので、自分なりに考えてみてくださいね。
① 光源氏が紫の上に感じた「理想」とはどのようなものか、説明してみよう
解答例: 光源氏が紫の上に感じた理想とは、自分の思い描く「完璧な女性像」に近い存在であったということです。藤壺に似た容姿を持ち、まだ幼いために自分好みに育てられる可能性がありました。彼にとって紫の上は、過去の叶わぬ恋の代わりであり、未来に希望を託す対象だったとのではないかと考えられます。
② 「おぼつかながり給へる」場面から読み取れる光源氏の心理とは?
解答例: 「おぼつかながり給へる」という表現から、光源氏は少女の弱々しい様子に対して、強い庇護欲や同情心を抱いたことがうかがえます。さらに、その様子に心を打たれたことで、紫の上への愛情が芽生えたのかもしれません。源氏はただ美しいから惹かれたのではなく、守ってあげたいという感情も大きな要因になっていたかも。
③ 「愛するとはどういうことか」あなたの考えを四百字程度でまとめてみよう
解答例: 愛するとは、相手を自分の理想にあてはめることではなく、相手の存在そのものを大切に思うことだと考えます。光源氏は紫の上を理想の女性として育てたいと考えましたが、それは一方的な理想の押し付けでもあります。現代の私たちにとっての「愛」は、相手の個性や成長を見守り、支えることかもしれないですね。愛には形があり、それぞれの関係に応じたやり方があります。だからこそ、相手の気持ちや状況を理解しようとする姿勢が、もっとも大切だと思います。