【高校受験】古文が驚くほど読める!0点から満点を狙う「主語特定」と「単語」の極意

目次

古文アレルギーを克服するためのマインドセット

「古文なんて何が書いてあるのかさっぱりわからない」「日本語のはずなのに宇宙語に見える」そんなふうに悩んでいませんか。実は、高校受験における古文は、正しい見方さえ身につければ、数学や英語よりも短期間で点数を伸ばせる「隠れた得点源」なのです。多くの受験生が苦手意識を持っているからこそ、ここを得意にすれば偏差値は一気に上がります。まずは、難しい勉強を始める前に、古文に対する苦手意識を取り払う心の準備から始めましょう。

古文は「昔の日本語」ではなく「外国語」として捉える

古文が苦手な生徒の多くは、古文を「ちょっと古い日本語」だと思って読んでいます。しかし、これが大きな落とし穴なのです。現代の私たちが使っている日本語とは、単語の意味も文法のルールも大きく異なります。例えば、「ありがたし」という言葉を見て「ありがとう」と感謝の意味だと思って読むと、話の筋が全く通らなくなります。古文では「めったにない」「貴重だ」という意味だからです。

まずは「古文は英語と同じ外国語である」と割り切って考えてみましょう。英語を勉強するとき、英単語や文法を覚えないと読めないのと同じように、古文も単語と文法という「ルール」を知らなければ読めなくて当然なのです。

「読めない自分は頭が悪い」のではなく、「まだルールを知らないだけ」だと認識を変えてください。英語で言えば「This is a pen.」のレベルから始めれば良いのです。外国語を学ぶつもりで、新しい言語コードを解読するようなワクワク感を持って取り組んでみましょう。この意識の切り替えが、古文攻略の第一歩となります。

すべてを完璧に訳そうとすると失敗する理由

真面目な生徒ほど陥りやすいのが、古文の一語一句を完璧に現代語訳しようとする罠です。高校入試の古文において、プロの翻訳家のような完璧な訳は求められていません。むしろ、「完璧に訳そうとすればするほど、時間が足りなくなる」というのが現実です。

入試問題で問われるのは、文章の「大筋」がつかめているかどうかです。「誰が」「何をして」「どうなったか」という骨組みさえわかれば、細かい修飾語やよくわからない単語が一つや二つあっても、正解にはたどり着けます。

わからない単語が出てきたら、そこで止まって悩むのではなく、「何かプラスのイメージの言葉だな」とか「人物の様子を表しているんだな」程度に推測して、先へ読み進める勇気を持ちましょう。全体を読み通すことで、後から「あ、これはこういう意味だったのか」とわかることも多々あります。完璧主義を捨てて、「6割わかればOK」という気楽なスタンスで文章に向き合うことが、結果的に高得点につながるのです。

漫画版「日本の歴史」や「あさきゆめみし」が最強の教科書

机の上で参考書を広げるだけが勉強ではありません。古文の世界観や当時の人々の考え方を理解するには、漫画が非常に有効なツールになります。特におすすめなのが、平安時代の恋愛模様を描いた「あさきゆめみし(源氏物語)」や、学習まんがの「日本の歴史」シリーズです。

古文が読みにくい原因の一つに、当時の生活習慣や常識がイメージできないことがあります。例えば、「貴族の男性が女性の家に通う」という当時の結婚形式(通い婚)を知らなければ、物語の背景が理解できません。漫画を通して当時の服装、建物の造り、人々の話し方などを視覚的にインプットしておくと、文章を読んだときに脳内で映像化しやすくなります。

勉強の息抜きとしてこれらの漫画を読んでみてください。「この時代の人はこういうことで悩んでいたんだな」と共感できるようになれば、無味乾燥な古文のテキストが、生き生きとしたドラマに見えてくるはずです。遠回りに見えて、実はこれが最も効率的な背景知識の習得法なのです。

まずは短期間で基礎を固めるスケジュールの立て方

古文は短期間で成果が出やすい科目ですが、ダラダラと勉強しても効果は薄いです。受験までの残り期間を逆算し、メリハリのあるスケジュールを立てましょう。おすすめは、「最初の2週間で基礎を徹底的に叩き込む」という集中学習です。

  • 最初の3日間: 歴史的仮名遣いと、中1〜中2レベルの基本単語を覚える。
  • 次の4日間: 重要度の高い助動詞(「ず」「たり」「けり」など)の意味と活用を覚える。
  • 残りの1週間: 短い文章問題を解きながら、主語を見つける練習をする。

このように、やるべきことを細分化して短期集中で取り組みます。特に夏休みや冬休みなどの長期休暇は絶好のチャンスです。Z会や進研ゼミなどの通信教育教材や、市販の薄い問題集を一冊仕上げるだけでも自信がつきます。

また、毎日15分でいいので古文に触れる時間を作ってください。寝る前の15分を単語の暗記に充てるなど、隙間時間を活用するのがコツです。「毎日触れる」ことで、脳が古文の独特なリズムに慣れていきます。

絶対に落とせない「歴史的仮名遣い」と「基礎知識」

ここからは具体的な勉強法に入っていきます。まず押さえるべきは、入試で必ずと言っていいほど出題される「歴史的仮名遣い」と基礎知識です。これらは知っているだけで点数になる「サービス問題」のようなものです。ここで失点するのはあまりにももったいないことです。ルールさえ覚えてしまえば、誰でも満点が取れる分野ですので、しっかりとマスターしていきましょう。

テストに出る「仮名遣い」のルールは5つだけ

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題は、パターンが決まっています。分厚い参考書を全部覚える必要はありません。以下の5つの黄金ルールを覚えるだけで、入試問題の9割はカバーできます。

ルール例(古文 → 現代語)
1. 文中・文末の「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「わ・い・う・え・お」と読むあはれ → あわれ
いふ → いう
2. 「ゐ・ゑ・を」は「い・え・お」と読むゐなか → いなか
こゑ → こえ
3. 「ぢ・づ」は「じ・ず」と読むよろづ → よろず
ふぢ → ふじ
4. 「くゎ」は「か」と読むくゎじ → かじ
5. 母音が続く場合(アウ・イウ・エウ)は伸ばす音(オー・ユー・ヨー)になるやうす → ようす(アウ→オー)
きう → きゅう(イウ→ユー)
てふ → ちょう(エウ→ヨー)

特に5番目の「伸ばす音(長音)」のルールは、多くの受験生が苦戦するポイントです。「てふてふ(蝶々)」が「ちょうちょう」になるのは、このルールが適用されているからです。この表をノートに書き写して、トイレや壁に貼っておきましょう。

これらのルールは、頭で覚えるだけでなく、実際に声に出して読むことが重要です。音読をすることで、耳からも正しい音をインプットでき、テスト本番でも自然と正しい読み方が浮かんでくるようになります。

現代語と意味が違う「古今異義語」に要注意

古文単語の中には、現代語と同じ形をしていても、意味が全く違う言葉が存在します。これらを「古今異義語」と呼びます。これらは入試でのひっかけ問題として非常によく出題されます。

  • うつくし: 現代では「きれい」だが、古文では「かわいらしい」(小さいものへの愛着)。
  • あはれ: 現代では「かわいそう」だが、古文では「しみじみとした趣がある」
  • をかし: 現代では「変だ」だが、古文では「趣がある」「興味深い」
  • やがて: 現代では「そのうち」だが、古文では「すぐに」「そのまま」

これらの単語が出てきたときは、脳内で「警戒アラート」を鳴らしてください。「知っている言葉だ!」と飛びついて現代語の意味で訳すと、まんまと出題者の罠にかかってしまいます。

単語帳を使う際は、こうした古今異義語に特化したページを重点的にチェックしましょう。「形は同じでも中身は別物」という意識を持つだけで、読解の精度は格段に上がります。

月の異名や方位時刻は表で丸暗記する

古文の世界では、「1月、2月」ではなく「睦月、如月」といった旧暦の呼び方(異名)が使われます。また、時刻や方角も「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)」といった十二支で表現されます。これらは文章の注釈で説明されないことも多いため、常識として覚えておく必要があります。

異名(読み方)季節のイメージ
1月睦月(むつき)新春・初春
3月弥生(やよい)桜・晩春
6月水無月(みなづき)梅雨明け・晩夏
9月長月(ながつき)夜が長い・晩秋
12月師走(しわす)年末・晩冬

すべてを一度に覚えるのが大変なら、まずは入試によく出る季節の変わり目(1月、3月)や特徴的な月(6月、12月)から覚えましょう。

方角や時刻については、時計の文字盤をイメージして、12時が「子(北)」、6時が「午(南)」と軸を作って覚えるとスムーズです。図を描いて視覚的に覚えるのが一番の近道です。余白にサッと十二支の時計を書けるように練習しておきましょう。

文学史は「竹取物語」から「徒然草」まで代表作を押さえる

文学史の問題は、作品名、作者、成立した時代、ジャンルをセットで問われます。これも知っていれば一瞬で解ける得点源です。高校受験で頻出の作品は限られていますので、以下の「ビッグ3」は必ず押さえてください。

  • 竹取物語: 平安時代初期。作者不詳。「今は昔、竹取の翁といふものありけり」で始まる、日本最古の作り物語。
  • 枕草子: 平安時代中期。清少納言。「春はあけぼの」で始まる随筆。
  • 徒然草: 鎌倉時代末期。兼好法師(吉田兼好)。「つれづれなるままに」で始まる随筆。

この3つに加えて、紫式部の「源氏物語」、鴨長明の「方丈記」、松尾芭蕉の「奥の細道」などを押さえておけば、公立高校入試レベルならほぼ対応できます。

覚え方のコツは、「冒頭の書き出し」を音読してリズムで覚えることです。冒頭文の穴埋め問題もよく出題されるため、一石二鳥の効果があります。教科書に載っている冒頭部分は、暗唱できるくらい何度も声に出して読みましょう。

高校入試のカギを握る「主語」の見つけ方

古文が読めなくなる最大の原因、それは「誰がその動作をしているのかわからなくなること」です。古文では、主語が頻繁に省略されます。現代語なら「私は学校へ行く」と言いますが、古文では「学校へ行く」とだけ書かれることが多いのです。この「見えない主語」を見つけるスキルこそが、古文読解の核心部分です。ここからは、探偵のように主語を特定するテクニックをお伝えします。

古文で主語が省略される本当の理由

なぜ古文ではこれほどまでに主語が省略されるのでしょうか。それは、当時の社会が狭いコミュニティであり、「言わなくてもわかる関係」だったからです。「宮中で」「女性の元へ行った」とあれば、文脈から「ああ、あの帝のことだな」と当時の人はすぐに理解できました。

また、身分の高い人の名前を直接呼ぶのは失礼にあたるという文化もありました。そのため、名前を出さずに動作だけで人物を表すことが多かったのです。

しかし、現代の私たちにはその「暗黙の了解」が通じません。だからこそ、私たちは文法的な手がかりを使って、論理的に主語を導き出す必要があります。主語の省略は「意地悪」ではなく、「文脈への信頼」だったということを理解しておきましょう。その上で、私たち現代人は「補う」作業を意識的に行わなければなりません。

「〜を・〜に・〜が」の助詞を補うトレーニング

主語を見失わないための最も基本的なテクニックは、文を読む際に自分で「助詞」を補いながら読むことです。古文の原文には助詞が省略されていることが多々あります。

  • 「〜が」: 動作の主体(主語)を示します。
  • 「〜を」: 動作の対象(目的語)を示します。
  • 「〜に」: 動作の相手や場所を示します。

例えば、「花見れば」という文があったとします。これを「花を見ると」と訳すだけでなく、「(私が)花を見ると」なのか、「(彼が)花を見ると」なのか、前後の文脈から補います。

練習として、問題集の古文に鉛筆で主語を書き込んでいく方法がおすすめです。登場人物を丸で囲み、動作を表す動詞と線で結んでみましょう。「Aさんが言った」「Bさんが聞いた」という図式を視覚化することで、誰が何をしているのかが整理されます。これを繰り返すと、自然と脳内で主語を補う癖がつきます。

敬語の種類で「誰が誰にした動作か」を特定する

実は、古文における「敬語」は主語を特定する最強のヒントになります。敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類がありますが、特に注目すべきは「尊敬語」です。

尊敬語(給ふ、おはす、のたまふ、など)が使われている場合、その動作の主語は「身分の高い人」であることが確定します。

敬語の種類意味主語の手がかり
尊敬語相手を高める主語は偉い人(帝、貴族など)
謙譲語自分を下げる主語は身分の低い人、または話し手
丁寧語言葉を丁寧にする話し手の丁寧な気持ち(主語特定にはあまり関係ない)

例えば、一つの文章の中に「帝」と「家来」が登場したとします。「( )言ひ給ふ」とあれば、「給ふ(尊敬語)」がついているので、主語は間違いなく「帝」です。逆に、敬語がついていなければ、主語は「家来」である可能性が高くなります。

難関校を目指すなら、この「敬語による主語判定」は必須スキルです。敬語が出てきたら「誰に対する敬意か?」を考える前に、まずはシンプルに「S(主語)は偉い人!」と反応できるようにしておきましょう。

接続助詞「て・で・つつ」の前後は主語が変わらない

文章を読んでいる途中で、「あれ?いつの間にか主語が変わっていた」という経験はありませんか?実は、主語が変わるタイミングと変わらないタイミングには、明確なサインがあります。

注目すべきは接続助詞です。特に「て」「で」「つつ」が出てきた場合、その前後で主語は変わりません

  • 例:男、京へ行きて、女に会ふ。
    (男が京へ行って、[男が] 女に会う)

このように、「て」の前が「男」なら、後ろの動作も「男」が行っています。

逆に、「を」「に」「ば」「ど・ども」が出てきた場合は、前後で主語が変わる可能性が高いです。

  • 例:男、京へ行けば、女、泣きけり。
    (男が京へ行くと、[変わって] 女が泣いた)

この「主語転換のサイン」を知っているだけで、読解のスピードと正確さが劇的に向上します。長文を読むときは、これらの接続助詞に印をつけながら、「ここは変わらない」「ここは変わるかも」と予測しながら読み進めましょう。

効率よく点数を稼ぐための重要単語と文法

「古文単語を覚えるのが面倒くさい」と感じている生徒は多いですが、実は高校受験レベルで必要な古文単語数は、英単語に比べれば圧倒的に少ないのです。英語が2000語以上必要とされるのに対し、古文は約300語あれば難関校でも戦えます。この300語を覚えるだけで、世界が変わって見えます。ここでは、効率的な単語と文法の攻略法を解説します。

最低限覚えるべき重要単語300選の覚え方

古文単語は、闇雲に暗記するのではなく、カテゴリーに分けて覚えるのが効率的です。

  • 重要動詞:「ののしる(大声で騒ぐ)」「おどろく(目が覚める)」など、現代語とズレがあるもの。
  • 重要形容詞:「いと(とても)」「ゆゆし(不吉だ・すばらしい)」など、感情や程度を表すもの。
  • 重要名詞:「ふみ(手紙・書物)」「かたち(容貌)」など、頻出アイテム。

具体的な教材としては、『高校入試 ランク順 中学古文単語・文法・漢文』(学研プラス)や、『くわしい 古文・漢文』(文英堂)などが中学生にも使いやすくおすすめです。

覚え方のコツは「ゴロ合わせ」です。「あさまし(驚きあきれる)」なら、「朝、マシな顔にあきれる」のように、イラストやリズムと一緒に覚えてしまいましょう。人間の脳は、意味のない記号よりも、ストーリー性のある情報のほうが定着しやすい性質を持っています。恥ずかしがらずにゴロ合わせを活用して、まずは基本の100語を1週間で一気にインプットしてみてください。

助動詞「ず」「たり」「けり」の接続と意味をマスター

文法の中で最も配点が高く、かつ読解の助けになるのが「助動詞」です。高校生になると数十種類の助動詞を覚えますが、高校受験では以下の3つを完璧にするだけで、偏差値が安定します。

助動詞主な意味訳し方接続(上の言葉の形)
打消(うちけし)〜ない未然形(ア段)
たり完了・存続〜た、〜ている連用形(イ段)
けり過去・詠嘆〜た、〜だなあ連用形(イ段)

特に重要なのが「けり」です。基本は「過去(〜た)」と訳しますが、和歌の中で使われたり、会話文で「〜けり」と出てきた場合は、感動を表す「詠嘆(〜だなあ)」の意味になることがあります。

「男、詩を詠みけり(男が詩を詠んだ)」と「美しき花なりけり(美しい花だなあ)」の違いに気づけるようになると、文章のニュアンスが深く理解できるようになります。まずはこの3つの助動詞を見つけたら、すぐに意味が浮かぶレベルまで反復練習をしましょう。

係り結びの法則は得点源になるボーナス問題

文法の問題で最も狙われやすいのが「係り結びの法則」です。これはルールが単純明快なので、覚えてさえいれば確実に点が取れます。

通常、文の最後は「終止形(ウ段)」で終わりますが、文中に特定の助詞(ぞ・なむ・や・か・こそ)が入ると、文末の形が変わるというルールです。

  • 「ぞ・なむ・や・か」があるとき → 文末は連体形になる。(意味:強意または疑問)
  • 「こそ」があるとき → 文末は已然形になる。(意味:強意)

例:「花ぞ咲く」ではなく、「花ぞ咲ける(連体形)」になる。

入試では、「カッコ内の語を適切な形に直しなさい」という形式でよく出題されます。文中から「ぞ・なむ・や・か・こそ」を見つけ出し、条件反射で文末を変形させるだけで正解できます。これは数学の公式と同じで、知っているか知らないかだけの勝負です。

スタディサプリやYouTube動画を活用した文法学習

文字ばかりの参考書で眠くなってしまう場合は、動画コンテンツを積極的に利用しましょう。現在は、予備校に行かなくても質の高い授業が無料で受けられる時代です。

例えば、YouTubeの「ただよび」などの教育系チャンネルでは、予備校講師が古文文法を非常にわかりやすく解説しています。また、「スタディサプリ」の中学講座では、プロの講師が黒板を使って、つまづきやすいポイントを噛み砕いて説明してくれます。

動画学習の良いところは、講師の「話し方」や「リズム」で覚えられる点です。「ここは大事だよ!」という強調部分が耳に残るので、テスト中に先生の声が再生されるような感覚になります。学校の授業でわからなかった単元だけをピンポイントで視聴し、その直後に問題集で演習を行う「ハイブリッド学習」が最も効果的です。

漢文(書き下し文)の対策も同時に進める

古文の対策をする際、忘れてはいけないのが漢文です。多くの入試問題では、古文と漢文がセットで出題されたり、融合問題として出されたりします。漢文は古文以上にルールが厳格で、覚えれば覚えるほど満点に近づく科目です。「返り点」のルールさえ攻略すれば、現代語訳は簡単です。

レ点と一・二点の返り点ルールを体に染み込ませる

漢文を読むための交通ルール、それが「返り点」です。上から下へ読むのが基本ですが、返り点がある場所だけ順番が入れ替わります。

  • レ点(チェックマーク): 直下の文字を読んでから、レ点のついている文字に戻る。「1つ下から戻る」と覚えましょう。
  • 一・二点(いちにてん): 「一」の文字を読んでから、「二」の文字に戻る。「二」と「一」の間にある文字は、すべて先に読みます。

複雑に見える文章でも、指を使って順番をなぞる練習をすれば必ず読めるようになります。最初は教科書の例文を使って、指で「ここからここへジャンプ」と確認しながら音読してください。

入試では「白文(返り点がない文)」に返り点を打つ問題や、返り点に従って読む順番を答える問題が頻出です。これはパズルゲームのような感覚で解けるので、慣れてくると楽しくなってきます。

書き下し文にする際の手順と注意点

漢文独特のルールに、漢字だけの文(訓読文)を、日本語の文章(書き下し文)に直す作業があります。これには絶対に守らなければならない3つの鉄則があります。

  1. 助詞・助動詞は「ひらがな」で書く: 原文で「不」などの漢字で書かれていても、書き下し文では「ず」とひらがなに直します。「置字(おきじ)」と呼ばれる、読まない漢字(而・於・矣など)は書きません。
  2. 歴史的仮名遣いで書く: 古文と同じく、「いわんや」ではなく「いはんや」のように書きます。
  3. 漢字の読みは現代語ではなく文語で: 「人」は「ひと」と読みますが、文脈によっては特別な読み方をすることもあります。

特に1番目の「ひらがな直し」は減点対象になりやすいポイントです。
例:「不入虎穴、不得虎子」
× 虎穴に入ら不れば、虎子を得不。(漢字のままはNG)
◯ 虎穴に入らんば、虎子を得。(ひらがなにする)

この変換作業は、手を動かして書くことでしか身につきません。ノートに漢文を写し、その隣に書き下し文を書く練習を毎日1文ずつ行いましょう。

漢詩の決まりごと(絶句・律詩・押韻)を押さえる

漢詩の問題は、知識だけで解けるラッキー問題です。以下のキーワードと数字の関係を整理しておきましょう。

形式名行数(句数)特徴
絶句(ぜっく)4行起承転結の構成
律詩(りっし)8行長い詩。対句(ついく)が使われることが多い

さらに、1行の文字数によって「五言(5文字)」か「七言(7文字)」かが決まります。
・4行で1行が5文字なら → 五言絶句
・8行で1行が7文字なら → 七言律詩

また、漢詩には「押韻(おういん)」というルールがあります。偶数行の末尾の漢字が、同じ響き(母音)で終わるようになっています。選択問題で「空欄に入る漢字」を問われたとき、この押韻のルールを知っていれば、意味がわからなくても音だけで正解を選べることがあります。

故事成語は由来のエピソードとセットで覚える

「矛盾」「推敲」「蛇足」「四面楚歌」などの故事成語は、もともと漢文の物語から生まれた言葉です。これらは、単に言葉の意味を覚えるだけでなく、「どんなエピソードから生まれたか」という背景を知っておくことが大切です。

たとえば「四面楚歌」なら、「敵(漢軍)に囲まれた項羽が、四方から故郷(楚)の歌が聞こえてくるのを聞き、味方が降伏してしまったと絶望した」というエピソードを知っていれば、意味(周りが敵だらけで助けがないこと)を忘れることはありません。

教科書や便覧に載っている主要な故事成語の漫画やあらすじを読んでおきましょう。入試では、その由来となった漢文がそのまま出題されるケースも多々あります。

志望校合格に向けた実践的過去問トレーニング

基礎知識を身につけたら、いよいよ実践です。過去問は単なる力試しではありません。「志望校がどんな問題を出すか」というメッセージを受け取るための分析ツールです。特に公立高校と私立難関校では対策が異なりますので、それぞれの戦略を立てましょう。

公立高校入試の過去問で「注釈」の使い方を学ぶ

公立高校の古文問題には、本文の下や横に必ず詳しい「注釈」がついています。実は、この注釈こそが最大のヒントであり、ネタバレでもあります。

古文が苦手な生徒は、本文ばかりを必死に読み、注釈を後回しにしがちです。しかし、できる生徒は「まず注釈に目を通してから」本文を読みます。注釈には、難しい単語の意味だけでなく、主語や人間関係、場面の説明まで書かれていることがあります。

「注釈をつなぎ合わせるだけで、話の大筋がわかってしまった」ということも珍しくありません。過去問を解く際は、注釈を蛍光ペンでマークし、本文中の該当箇所に書き込んでしまうくらいの気持ちで活用してください。これはカンニングではなく、与えられた情報を最大限に使う立派な戦術です。

早稲田実業や慶應女子など難関私立の記述問題対策

早稲田大学高等学院、慶應義塾志木高等学校、明治大学付属明治高等学校などの難関私立高校を目指す場合、マークシート方式だけでなく、記述問題への対策が必須となります。

これらの学校で求められるのは、「現代語訳しなさい」という単純な問題よりも、「なぜこの人物はこう言ったのか、その心情を説明しなさい」という読解力と表現力を問う問題です。

対策としては、記述解答の「型」を作ることです。
・心情を問われたら → 「〜という出来事があり、〜と感じたから。」
・理由を問われたら → 「〜なので、〜だから。」

そして必ず、塾の先生や学校の先生に添削を頼んでください。自分では書けたつもりでも、「主語が抜けている」「因果関係が不明確」といった減点ポイントは、自分では気づきにくいものです。SAPIX早稲田アカデミーなどの進学塾では、こうした記述対策に多くの時間を割きます。プロの目によるフィードバックを受けることが、合格答案への最短ルートです。

制限時間を設けて解くスピード重視の練習法

「家でゆっくりやれば解けるのに、テスト本番だと時間が足りない」という悩みはよく聞きます。これは、普段の勉強で時間を意識していないことが原因です。

入試本番、国語の試験時間は50分程度が一般的です。その中で、現代文(論説・小説)、古文、漢文、作文をすべてこなさなければなりません。古文・漢文に使える時間は、せいぜい10分〜15分です。

普段の過去問演習から、キッチンタイマーを用意し、「この大問は12分で解く」と時間を区切って取り組みましょう。時間が来たら途中でも手を止め、採点します。これを繰り返すことで、「わからない問題に時間をかけすぎない」「設問を先に読んでから本文を探す」といった、実戦的なスピード感覚が養われます。

間違えた問題こそが宝の山!解き直しノートの作り方

最後に、最も成績が伸びる瞬間をお伝えします。それは「間違えた問題を分析しているとき」です。丸つけをして「70点だった、よかった」で終わらせてはいけません。

なぜ間違えたのか、その原因を言語化してノートに書き留めましょう。

  • 単語の意味を知らなかったから? → 単語帳に戻ってチェック。
  • 主語を勘違いしたから? → どこで取り違えたか本文を見直す。
  • 注釈を見落としていたから? → 次回への教訓にする。

この「解き直しノート」は、あなただけの弱点補強教材になります。入試直前、新しい問題集に手を出すよりも、このノートを見返すほうが何倍も効果的です。失敗を放置せず、次への成功の糧に変える姿勢があれば、古文・漢文は必ずあなたの得意科目になります。

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