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【全文・現代語訳つき】「大鏡」ってじつは深い!道長の“望月の歌”から読み解く栄枯盛衰
「この世をば我が世とぞ思ふ」――この一文、テスト前に何となく暗記した記憶、ありませんか?
だけど「意味までちゃんと理解してるか?」と聞かれると、自信がない人も多いかも。
実はこの歌、平安時代に最強の権力を握った藤原道長が、絶頂のタイミングで詠んだもの。
だけど、その栄光の裏には…人の運命のはかなさが隠れていたのです。
超簡単に!1分でわかる「大鏡」ってどんな話?
『大鏡(おおかがみ)』は、平安時代の貴族社会の裏側や、藤原氏の栄華とその移り変わりを描いた歴史物語です。
なかでも有名なのが、藤原道長のこの一首。
この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思へば
自分の力があまりにも強くて、この世はまるで自分のもののように思えるという、まさに“人生のピーク宣言”。
でも、満月ってやがて欠けるよね?
満ちたものは、いずれ欠ける――それが、この歌にこめられた深いメッセージです。
【原文】道長の「望月の歌」
この世をば わが世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思へば
【現代語訳】いちばんやさしい訳で読んでみよう
この世界は、まるで自分のためにあるように思える。
満月のように、何も欠けているものがないのだから。
文ごとのポイント解説|意味と情景をつかもう
原文 | 意味 |
---|---|
この世をば | この世界を |
わが世とぞ思ふ | 自分の時代だと強く思う |
望月の | 満月のように |
欠けたることもなし | 欠けているところなんて一つもない |
と思へば | そう思えてしまうほどに |
藤原道長ってどんな人?
- 平安時代の貴族社会で最も力を持った人物
- 娘たちを天皇の后に → 孫が天皇に即位
- 摂政・関白として政治を主導
でも、その全盛期はそう長くは続きませんでした。
晩年には病を患い、後継者の問題も。
「望月」は一時の栄光。満ちれば欠ける――それが歴史のリアルなんです。
『大鏡』ってどんな作品?
- 平安末期に成立した歴史物語
- 語り手はおじいさんたち(対話形式)
- 人物の功績だけでなく、失敗や退場も描く
冷静な目で「人の栄枯盛衰」を見つめる作品なんです。
テストに出る語句・問題まとめ
よく出る古語と意味
- 望月:満月(満ちた状態)
- 欠けたる:欠けている
- ぞ思ふ:~と思う(係り結び)
- この世をば:この世界を(強調)
よく出るテスト問題
- 「望月」が象徴するものは?
- この歌の主題は何か?
- この歌が“皮肉”として読まれる理由は?
覚え方のコツ|ストーリーで古典を覚えよう!
満ちる → 絶頂 → やがて欠ける
「この世は自分のもの!」って思ったその瞬間がピークだった。
人生にも通じる“無常”のストーリーとして覚えよう!
「望月の歌」が伝えるメッセージって?
人生には絶頂があるけれど、それは永遠じゃない。
満ちた月はいずれ欠ける。だからこそ、慢心せずに今を大切に。
「おごり高ぶるなよ」という道長からの警告かもしれません。
発展問題にチャレンジ!
- 満月はなぜ「儚さ」の象徴なのか?
→ 永遠に満ちてはいられない。やがて欠けていく運命。 - この歌に込められた“警鐘”とは?
→ 栄光の絶頂にあるときほど、自分を振り返るべき。 - あなたの「望月」の瞬間は?
→ それが今も続いているか、考えてみよう。
補足:『栄花物語』との比較
作品 | 特徴 |
---|---|
栄花物語 | 藤原道長を徹底的に礼賛。ほめたたえる構成。 |
大鏡 | 客観的な目線で、栄光だけでなく転落も描く。 |